【第2部-2回】AIとの開発で品質を担保する!20章超の教材デザインを統一したHTMLテンプレート設計秘話
教材開発AIプロジェクトの第2弾。全24章に及ぶPMP教材の品質を担保するため、AIと協力して再利用可能な共通HTML/CSSテンプレートを設計した秘話を紹介。デザインの均一化と開発効率の劇的な向上を実現する仕組み作りのポイントを解説します。

この記事はシリーズ構成となっており▶️マークが現在の記事となります
プロローグ
AIは「新人」であり「Web開発」である - 成果を最大化する生成AIとの付き合い方
第1部 僕がAIを最高の相棒にするまで:ブログ運営改善プロジェクト全記録
第2部 PMP資格の学習教材を、AIを相棒にしてゼロから作り上げる
【第1回】AIは優秀な壁打ち相手になるか?自作教材の構成レビューと改善提案
▶️【第2回】AIとの開発で品質を担保する!20章超の教材デザインを統一したHTMLテンプレート設計秘話
【第3回】ただのテキスト変換じゃない!AIに複雑な概念を「図解」させるプロンプト術
【第4回】AIは完璧じゃない!生成コードのエラーと向き合い、修正・改善した実践録
【第5回】総仕上げはAIと!試験対策用の「チートシート」を高密度レイアウトで作り上げた方法
【第6回】AIとのプロジェクト完遂!一連の体験から学んだAI時代のプロジェクトマネジメント術
第3部 AIを相棒にしたシステム開発プロジェクト全記録
テーマ: 大規模開発の仕組み作り
前回の記事はこちら:https://axis.migalo.co.jp/column/k018
① はじめに
こんにちは。AIを相棒にPMPのオリジナル教材を作成するプロジェクト、その開発記録をお届けする連載の第2回です。
前回は、プロジェクトの「キックオフ~分析」フェーズで、AIに教材ドラフトのレビューを依頼し、的確な改善案を得るまでのお話をしました。強固な土台ができた今、いよいよ本格的な開発、つまりMarkdown形式のテキストを 視覚的に分かりやすいインフォグラフィック(HTML) に変換していく工程に入ります。
今回は、その 「基盤設計」フェーズ がテーマです。全24章という膨大なコンテンツの品質をいかにして担保するか?その答えが「共通テンプレートの設計」でした。この記事を読めば、AIを活用して、大規模なドキュメントやWebサイトの品質とデザインを均一に保ち、開発効率を劇的に向上させる「仕組み作り」のヒントが得られます。
② 課題・目的
第1章のインフォグラフィック化をAIに依頼したところ、素晴らしい出来栄えのHTMLが完成しました。しかし、ここで一つの大きな課題が持ち上がります。
「このクオリティを、残り23章分、どうやって維持するんだ?」
もし、各章を作成するたびにAIに「いい感じのデザインにして」とお願いしていたら、アウトプットに微妙なバラつきが生まれることは確実です。見出しの大きさが違ったり、強調ボックスの色が章ごとに異なったり…それでは、教材全体としての一貫性が損なわれ、読者を混乱させてしまいます。
手作業でスタイルを統一するのは非効率的で、ミスも起こりやすい。何より、今後の開発スピードが著しく低下してしまいます。
目的: 全章で共通して利用できる、再利用可能なHTMLとCSSのテンプレートを作成すること。これにより、アウトプットの品質を平準化し、今後の開発を効率化する。
③ AIへの具体的な指示(プロンプト)
この課題を解決するため、私はAI(Gemini)に次の指示を出しました。単に「テンプレートを作って」とお願いするのではなく、その 「目的」と「背景」 を明確に伝えることを意識しました。
今回アウトプットしていただいた「000_第0章」のインフォグラフィックとフォルダ全体を確認して、インフォグラフィックのテンプレートを作成してください。
目的 今後のインフォグラフィック化の際に今回作成いただくテンプレートを踏襲することで、アウトプットの品質やデザインの均一化を図りたいです。
この指示のポイントは、すでにある成功事例(第0章のHTML)をベースにさせることで、私がどのようなデザインを求めているかを具体的に伝えた点です。ゼロから考えさせるのではなく、良い見本を提示することで、AIとの認識齟齬を最小限に抑えました。
④ AIの応答と結果
私の意図を正確に汲み取ったGeminiは、第0章のデザインを基盤としながら、今後の章で登場するであろう様々な要素(用語の定義、重要ポイントの強調、PMBOK第6版のITTOなど)を予測し、それらを表現するための汎用的なCSSクラスを組み込んだ、非常に完成度の高いHTMLテンプレートを提案してくれました。
提案されたテンプレートの主要な要素:
.card: 複数の要点を並列に見せるためのカード型レイアウト
.definition-box: 重要なキーワードを解説するための定義ボックス
.key-point-box: 特に伝えたいことを強調するためのまとめボックス
.itto-container: PMBOK第6版のITTO(インプット、ツールと技法、アウトプット)を色分けして表示するための専用レイアウト
.custom-table: 比較表などで使用する、デザインが統一されたテーブル
このテンプレートの完成により、以降の章の作成プロセスは劇的に変わりました。私は各章のMarkdownテキストを準備し、「このテキストを、あのテンプレートを使ってHTML化して」と指示するだけ。AIは、テキストの内容を解釈し、適切なコンポーネント(カードや定義ボックスなど)を使い分けながら、デザインが完全に統一されたHTMLを生成してくれるようになりました。
手作業でHTMLの構造やCSSを考える必要がなくなり、私はコンテンツの中身そのものに集中できるようになったのです。
(実際にAIが生成したテンプレートの実物がこちらです。以降の章は、すべてこの設計図を基に作成していくことになります。)

⑤ 考察・ポイント
AIと一緒に「仕組み」を設計した今回の経験から、以下の重要なポイントが見えてきました。
・最初に「スケーラビリティ」を考える 目先のタスクを一つこなすだけでなく、プロジェクト全体の作業量を見越して、「どうすれば楽に、かつ品質を保って拡張(スケール)できるか?」を考えることが重要です。初期段階でのテンプレート設計という「投資」が、後の膨大な「コスト(時間と労力)」を削減します。
・AIを「システムアーキテクト」として活用する AIは、言われたコードを書くだけのプログラマーではありません。プロジェクトの全体像と目的を伝えれば、それを実現するための最適な構造(今回の場合はテンプレートというシステム)を設計する「アーキテクト」の役割も担ってくれます。
・成功事例を「共通言語」にする 「こんな感じ」という曖昧な指示ではなく、「このアウトプット(第0章のHTML)のように」と具体的な成功事例を提示することで、AIとのコミュニケーションは格段にスムーズになります。良いアウトプットは、次のタスクの品質を保証する「共通言語」となるのです。
あなたのプロジェクトで試すには
あなたのチームで繰り返し作成されているドキュメント(報告書、設計書など)はありませんか? その中の一つの完成品をAIに見せ、「このドキュメントの品質とフォーマットを統一するためのテンプレート案を作成して」と依頼してみましょう。属人化を防ぎ、チーム全体の生産性を向上させる第一歩になります。
⑥ まとめと次回予告
全24章という長丁場のプロジェクトにおいて、最初にAIと協力して共通テンプレートを設計したことは、品質、効率、そして私自身のモチベーションを維持する上で決定的な一手となりました。これは、AI開発に限らず、あらゆるプロジェクトにおける「標準化」の重要性を示唆しています。
さて、強力な武器となるテンプレートを手に入れたことで、開発のレールは敷かれました。しかし、PMPの難解な概念は、綺麗なテキストだけでは伝わりません。「タックマンモデル」や「鉄の三角形」のような、図で見て初めて理解できるフレームワークをどう表現するのか?
次回は、このテンプレートという制約の上で、AIを「デザイナー」として覚醒させ、複雑な概念をカスタム図解させるプロンプト術を深掘りします。


