【第2部-1回】AIは優秀な壁打ち相手になるか?自作教材の構成レビューと改善提案
PMP資格のオリジナル学習教材開発におけるAIの活用法を紹介。全23章の構成ドラフトをGeminiにレビューさせ、具体的な目的と観点を与えることで、客観的な改善点と追加文章を即座に引き出した「壁打ち相手」としての実践的なノウハウを解説します。

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プロローグ
AIは「新人」であり「Web開発」である - 成果を最大化する生成AIとの付き合い方
第1部 僕がAIを最高の相棒にするまで:ブログ運営改善プロジェクト全記録
第2部 PMP資格の学習教材を、AIを相棒にしてゼロから作り上げる
▶️【第1回】AIは優秀な壁打ち相手になるか?自作教材の構成レビューと改善提案
【第2回】AIとの開発で品質を担保する!20章超の教材デザインを統一したHTMLテンプレート設計秘話
【第3回】ただのテキスト変換じゃない!AIに複雑な概念を「図解」させるプロンプト術
【第4回】AIは完璧じゃない!生成コードのエラーと向き合い、修正・改善した実践録
【第5回】総仕上げはAIと!試験対策用の「チートシート」を高密度レイアウトで作り上げた方法
【第6回】AIとのプロジェクト完遂!一連の体験から学んだAI時代のプロジェクトマネジメント術
第3部 AIを相棒にしたシステム開発プロジェクト全記録
テーマ: プロジェクトのキックオフ
前回の記事はこちら:https://axis.migalo.co.jp/column/k017
① はじめに
はじめまして。普段はプロジェクトマネージャーとして活動しています。
この度、「生成AIを活用した経験を記事にする」という社内プロジェクトが発足し、私も自身の経験を振り返ることにしました。そこで思い返したのが、「PMP資格のオリジナル学習教材を、AIを相棒にゼロから作り上げる」 という、個人的に進めていた一大プロジェクトです。
この連載では、その開発の全記録を、プロジェクトのフェーズに沿ってご紹介します。
記念すべき第1回は、プロジェクトの 「キックオフ~分析」フェーズのお話です。AIを単なる作業者としてではなく、プロジェクト初期の「コンサルタント」「レビューア」として活用した経験をお話しします。この記事を読めば、AIを使って自身の作成した資料や企画を客観的に評価し、改善のヒントを得る方法が分かります。
② 課題・目的
PMP資格の取得を目指すにあたり、市販の教材だけでなく、PMBOKガイド第7版と第6版を統合した自分だけのオリジナル教材を作ろうと思い立ちました。全21章+補足2章、かなりのボリュームのドラフト(Markdown形式)をGoogleドライブに準備し、構成にも自信がありました。
しかし、一点だけ懸念がありました。それは、この一連の作業を、私一人で行っていたということです。
自分では完璧だと思っていても、客観的に見れば「ここが分かりにくい」「この視点が抜けている」といった盲点や偏りが必ずあるはずです。本格的なインフォグラフィック化(HTML化)の作業に入る前に、誰かにこの教材全体をレビューしてもらい、客観的なフィードバックが欲しい。しかし、その内容をすべて読み込んで的確な指摘をくれるような、都合の良い相手はなかなかいません。
そこで、この「壁打ち相手」の役割を、AI(Gemini)に任せられないかと考えました。
目的: AIに教材のドラフト全量を読み込ませ、その構成や内容について網羅的なレビューを受け、具体的な改善案を得ること。
③ AIへの具体的な指示(プロンプト)
まずは、GeminiにGoogleドライブへのアクセスを許可し、プロジェクトの背景と目的、そしてレビューしてほしい内容を具体的に伝えました。実際のプロンプトがこちらです。
@Google ドライブ Googleドライブにアップロードしたフォルダ「PMBOK7_教科書プロジェクト」には、PMBOK第7版+第6版補完ベースのプロジェクトマネジメント教科書(全21章+補足2章)があります。
この教材は以下を目的としています:
① PMP試験対策
② 実務適用のノウハウ
③ 視覚的に理解しやすいインフォグラフィック教材への変換
まず、フォルダ全体を確認して、内容の構成や目的、各章の関係性を把握してください。
下記の観点について問題がないか確認してください
① 目的に関しての不明点
② 内容に関しての不明点
③ 内容に関しての補足・修正案
④ 内容に関して表記ゆれや表現方法の修正案
⑤ 内容に関して、過不足、間違っている箇所の指摘と修正案
ポイントは、「レビューしてください」と丸投げするのではなく、「3つの目的」という評価の軸を与え、「5つの観点」で具体的なフィードバックを求めたことです。これにより、AIが何をすべきかを明確に理解できるようにしました。
④ AIの応答と結果
しばらくして返ってきたGeminiからの応答は、私の期待を大きく超えるものでした。
まず、全体構成を正確に理解した上で、「特に不明瞭な点はない」と評価してくれました。これは、プロジェクトの方向性が間違っていないという自信に繋がりました。
そして、最も価値があったのが「内容に関する補足・修正案」と「内容の過不足、間違っている箇所の指摘と修正案」です。特に、以下の2点の指摘は的確でした。
・アジャイル開発手法の深掘り: 「第6章でアジャイルの基本概念に触れられているが、PMP試験での比重が高まっていることを考慮し、『スクラム』の各イベントについて、もう少し具体的な記述を追加すると試験対策としてさらに有効になる」
・EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)の実践的解説: 「第13章でEVMの指標が解説されているが、計算式だけでなく、『実際のプロジェクトで数値をどう読み解き、どうアクションに繋げるか』という実践的な解説を加えると、初学者にとってのハードルが下がる」
まさに、自分でも「少し説明が薄いかな」と感じていた部分でした。AIという客観的な視点から指摘されたことで、その重要性を再認識し、すぐさま改善に着手することにしました。
さらに驚いたのは、私が「この2点について、修正案を作成してみて」と追加でお願いしたところ、即座に具体的な追記文章を生成してくれたことです。この文章を元に教材のドラフトを更新し、プロジェクトはより強固な土台の上でスタートを切ることができました。
⑤ 考察・ポイント
今回の経験から得られた、AIを「レビューア」として活用する際のポイントは3つです。
・コンテキストを惜しみなく与えること AIに質の高いフィードバックを求めるなら、インプットの質が重要です。今回で言えば、フォルダへのアクセスを許可し、プロジェクトの「目的」という評価軸を明確に伝えたことが、的確な指摘を引き出す鍵となりました。
・AIを「新鮮な目」として信頼すること 一人で作業していると、どうしても視野が狭くなります。AIは、私たちの知識や思い込みの外から、フラットな視点で内容を評価してくれます。自分では気づけない「当たり前の抜け漏れ」を指摘してくれる貴重な存在です。
・指摘から実行までをシームレスに行う AIの強みは、課題を指摘するだけでなく、その解決策(今回の場合は具体的な文章)まで生成できることです。レビューで見つかった課題を、その場でAIと一緒に解決していく。このスピード感は、従来の開発プロセスを大きく変える可能性を秘めています。
あなたのプロジェクトで試すには
あなたが今まさに作成している企画書や設計書、あるいは単なる議事録のドラフトでも構いません。そのドキュメントをAIに渡し、「この資料の目的は〇〇です。第三者の視点でレビューし、改善点を提案してください」と依頼してみましょう。客観的なフィードバックが、プロジェクトの盲点を洗い出してくれます。
⑥ まとめと次回予告
プロジェクトのキックオフ段階でAIにレビューを依頼した結果、教材の弱点を補強し、自信を持って次のステップに進むことができました。AIは、指示された作業をこなすだけの存在ではなく、プロジェクトの初期段階において、方向性を定め、品質を高めるための強力なパートナーになり得ることを実感しました。
さて、教材の骨子も固まり、いよいよ本格的な開発(インフォグラフィック化)が始まります。しかし、ここで私は立ち止まります。「このクオリティを、全24章でどうやって維持するんだ?」と。場当たり的な開発は、必ず破綻します。
次回は、この巨大プロジェクトを成功させるため、AIを「システムアーキテクト」として活用し、開発効率を爆発的に高める「共通テンプレート」を設計した話をご紹介します。


