【第1部-2回】月次レポート作成を完全自動化!GASコードをGeminiに丸投げしてブログ運営を効率化した話
毎月数時間かかっていたブログの電力データ集計とレポート作成業務を、Geminiを活用したGoogle Apps Script(GAS)コード作成により完全自動化。ノンプログラマーでもAIをITエンジニアとして活用し、業務を効率化するための秘訣を解説します。

この記事はシリーズ構成となっており▶️マークが現在の記事となります
プロローグ
AIは「新人」であり「Web開発」である - 成果を最大化する生成AIとの付き合い方
第1部 僕がAIを最高の相棒にするまで:ブログ運営改善プロジェクト全記録
【第1回】写真の表を瞬時にCSV化!業務効率を劇的に改善するGemini活用術
▶️【第2回】月次レポート作成を完全自動化!GASコードをGeminiに丸投げしてブログ運営を効率化した話
【第3回】「ただの数字」から「伝わる物語」へ。AIを“データアナリスト”にした思考プロセス
【第4回】企画からSNS拡散まで!AIを相棒にブログ記事をゼロから作り上げた全記録
【第5回】AIと一緒にWebサイトをリニューアル!トップページをGeminiと作った全記録
【第6回】AIで「見る」ブログを作る!グラレコからインタラクティブグラフまで爆速で作成した話
【第7回】AIは最高の壁打ち相手!対話と深掘りでコンテンツの質はここまで上がる
第2部 PMP資格の学習教材を、AIを相棒にしてゼロから作り上げる
第3部 AIを相棒にしたシステム開発プロジェクト全記録
テーマ: データ集計の自動化
前回の記事はこちら:https://axis.migalo.co.jp/column/k11
① はじめに:面倒なデータ入力の、その先へ
前回の記事で、私たちはAIの力を借りて、写真に撮った表からデータを一瞬で抽出することに成功しました。面倒な手入力作業からは解放されましたが、それは新たな課題の始まりでもありました。
今、私たちの手元には、大量の「綺麗なデータ」があります。しかし、これをどうやって集計し、分析すれば良いのでしょうか?
この記事では、そんな私の悩みを生成AI(Gemini) がどう解決してくれたのか、その全記録をお届けします。具体的には、毎月数時間かかっていた手作業を、AIにGoogle Apps Script(GAS)のコードをゼロから書かせることで、ボタン一つで完了する5分程度の作業へと変貌させたストーリーです。
この記事を読めば、専門的なプログラミング知識がなくても、AIを「優秀なITエンジニア」として活用し、面倒な定型業務を自動化する具体的なイメージを掴むことができます。
② 課題・目的:手作業のデータ集計地獄からの脱却
私のブログでは、毎月「電力レポート」を公開しています。この記事を作成するためには、以下のような手作業が必要でした。
課題: ハウスメーカーの専用アプリから、1ヶ月分の時間帯別電力データをCSV形式でダウンロード。 契約している電力会社から届く「電気代の請求額」と、大手電力会社から通知される「売電収入額」の2つの情報を確認。 これら3つの情報を、分析用のExcelファイルに手作業で転記・統合。 Excelのピボットテーブルや関数を駆使して、ブログ記事に必要な30以上の指標(前月比、前年同月比など)を一つずつ計算。
この一連の作業は、毎月2〜3時間はかかっており、正直なところ、ブログ運営の大きな負担となっていました。
目的: この手作業を完全自動化し、 「CSVをアップロードして、価格を入力したら、ボタン一つでブログに必要なすべてのデータが出力される」 という仕組みを構築すること。
③ AIへの具体的な指示(プロンプト)
この目的を達成するため、私はGeminiとの対話を始めました。AIとの協業は、 「Webアプリケーション開発プロジェクト」 と同じです。成功の鍵は、最初の「要件定義」にあります。
フェーズ1:要件定義(AIとの仕様すり合わせ)
まず、AIにプロジェクトの全体像を伝え、どのような成果物が欲しいのかを具体的に定義していきました。
【私からGeminiへの指示①:プロジェクトのキックオフ】 ブログの電力レポート作成を自動化したいです。 インプットは、①ハウスメーカーの専用アプリからダウンロードするCSV、②売電価格、③買電価格の3つです。 アウトプットとして、これらの情報から、私が現在使っているExcelファイル(添付)に準ずるGoogleスプレッドシートを生成できるようにしたいです。 まずは、この目的を達成するための最も良い進め方を提案してください。
この最初の指示に対し、Geminiは「Google Apps Script(GAS)を使うのが最も確実で、将来的に最も楽になります」と提案。その上で、 「まずは、最終的に欲しいアウトプット(スプレッドシートのシート構成)を一緒に定義しましょう」 と、プロジェクトの進め方をリードしてくれました。
AIとの対話を通じて、最終的に必要なシート構成を以下の4つに定義しました。
月次サマリーシート: 全期間の月ごとの主要データと、比較分析(先月比・前年同月比)を一覧化するシート。
日別データ_YYYYMMシート: 最新月の日ごとのデータを集計するシート。
時間帯別データ_YYYYMMシート: 最新月の時間帯別データの平均を集計するシート。
RAWデータシート: これまでに処理した全てのCSVの生データを、一つのシートに蓄積していくシート。
フェーズ2:コード生成の依頼
仕様が固まったところで、いよいよ核心部分であるコード生成を依頼します。
【私からGeminiへの指示②:実装依頼】 ありがとうございます。その4シート構成で確定します。 それでは、この仕様に基づいて、レポート作成を自動化するためのGoogle Apps Scriptの完全なコードを作成してください。 スプレッドシートのIDと、CSVが格納されるGoogleドライブのフォルダIDはこれです。サイドバーから価格を入力できるようにしてください。
④ AIの応答と結果
この指示に対し、Geminiは驚くほど正確なGASのコードを、わずか数十秒で生成しました。生成されたコードは、大きく2つのファイルで構成されていました。
コード.gs: Googleドライブから最新のCSVを検索・読込。 CSVデータを解析し、日別・時間帯別のデータを計算。 月次サマリーシートを更新し、前月・前年同月との比較データを計算。 すべての結果をスプレッドシートに書き出す、というメインのロジック。
Sidebar.html: ユーザーが売電・買電価格を入力するための、操作画面(サイドバー)のHTMLコード。

この2つのコードをスプレッドシートのスクリプトエディタにコピー&ペーストし、初回認証を済ませるだけで、私専用の 「電力レポート自動生成ツール」 が完成しました。
過去2年分のCSVデータを使ってテストしたところ、手作業で作成したレポートと寸分違わぬ結果が出力され、その正確さに驚かされました。

⑤ 考察・ポイント:AI活用を成功させる3つのコツ
今回の経験から、AIを「優秀なITエンジニア」として動かすための、3つの重要なポイントが見えてきました。
- AIに「丸投げ」する前の「要件定義」が9割: AIに正確なコードを書かせるには、人間側が 「何を作りたいか」 を明確に定義し、AIとの対話を通じて仕様を固めるプロセスが不可欠です。今回も、最初にシート構成を細かく定義したことが、最終的な成果物の品質を決定づけました。
- 専門知識は不要、必要なのは「目的を言語化する力」: 私はGASについて深い知識を持っていません。しかし、「どのフォルダの、どのファイルを読み込んで、どう計算し、どのシートに、どういう形式で書き出してほしい」という目的とプロセスを言語化できれば、AIがその意図を汲み取り、専門家として動いてくれます。
- 定型業務はAIに任せ、人間はクリエイティブな作業に集中する:最も大きな成果は、「時間の創出」 です。これまでデータ集計に費やしていた月数時間を、より質の高い分析や、新しい記事の企画といった、人間にしかできないクリエイティブな作業に使えるようになりました。これは、個人だけでなく、企業全体の生産性を向上させる上で非常に重要な視点です。
今日からできるアクション
あなたが毎月・毎週行っている、Excelやスプレッドシートでの定型作業を一つ思い浮かべてください。その作業手順を箇条書きでAIに伝え、「これを自動化するスクリプトのアイデアを教えて」と相談してみましょう。プログラミングの知識は不要です。まずは「相談」から始めてみてください。
⑥ まとめと次回予告
今回は、生成AIを活用して、面倒なブログのデータ集計作業を完全自動化した事例をご紹介しました。AIに具体的な役割(今回はITエンジニア)と明確なゴールを与えることで、AIは私たちの期待を遥かに超える成果を出してくれます。
さて、こうして毎月のレポート作成は劇的に楽になりました。しかし、自動化されたデータは、あくまで「素材」にすぎません。この数字の羅列を前に、私は新たな壁にぶつかります。「で、このデータから何を伝えれば面白いんだ?」。
次回は、この課題を乗り越えるため、AIを 「データアナリスト」 として活用し、「ただの数字」を「伝わる物語」に変えていった思考プロセスをお届けします。


